【280冊目】「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ(金子哲雄)

b280
【今後のビジネスを考えたい人向け】流通ジャーナリストとして一時代を気づいた金子哲雄氏。早すぎる死が惜しまれる金子さんがビジネス書として最後に送り出した一冊。これから日本を展望する視点、最後まで全力です。

 

 

==================
■本の概要
==================
【書籍名】「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ
【著者名】金子哲雄
【出版社】角川書店
【出版日】2012/9/10
【推薦度】★★☆☆☆
【目 次】
第一章 マイホーム「購入」「賃貸」の論争に決着
第二章 資産を持つ企業VS「持たない」企業
閑話休題 コラム1 ~ビジネスマン一人一人の生き残り術~
第三章 世界的製造業は圧倒的に「持たない」
閑話休題 コラム2 ~営業力で人間グーグル化を目指す~
第四章 日本で生き残る「持たない」企業
持たない経営は私たちを幸せにするのか?

 

 

==================
■本の紹介文
==================
本日も、ご覧頂きありがとうございます。
米山智裕です。

 

本日ご紹介する一冊は【「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ(金子哲雄)】

 

著者は、金子哲雄さん。
大活躍のさなか、早すぎる死をむかえられた流通経済ジャーナリスト。

 

あなたへの質問です。
「今目の前の光景を見渡して、持ってなくてもいいんじゃない?と思うものは何ですか?」

 

Appleのようなファブレス企業、受託生産に特化するEMSなど、持たない経営が潮流になりつつある現状をまとめた一冊。
この潮流の中で企業は個人はどのように生きていくべきなのかをするどく投げかけています。

 

「持たない」というキーワードだけを聞くと、「流行りの断捨離でしょ」「無駄を省いてリストラか」となりがちですが、本書で言いたいことはそうではありません。
「持たない」ということを言い換えれば、「自分にはこれしかない」「自分はここで勝負するんだ」という自分の得意分野で一極集中して勝負すること、それが出来ずどっちつかずの態度を取るものには、厳しい未来しかない。
そう問いかけてくる内容です。

 

全体を通して「持たない」ということに集中して主張が進められますので、読む人それぞれに反論するポイントは多々出てくると思いますが、金子哲雄さん最後の渾身の投げかけと、議論を戦わせるのもまた一つの弔いになるのではないでしょうか。

 

それでは、本編をはじめます。

 

 

==================
■読書ノート
==================
自然災害やそれを端緒とする災害に巻き込まれるだけでなく、現代社会はあらゆる場面にリスクが潜んでいます。

 

変化の激しい時代では身軽さこそがリスクをヘッジし、ビジネスチャンスを増やすことができるのではないでしょうか。

 

地主から畑を借り、頑張って収穫してもほとんど地主に持っていかれてしまう小作農。
永遠とも思える35年ローンを組み、その返済のために働くマイホーム購入者。
この二者が極めて似ていると感じるのはおかしいでしょうか。

 

我が国が人口減少社会になっているにも関わらず、不動産ディベロッパーはマンションを建築しています。需給バランスを考慮すると既存のマンションは価値をさらに下げて、借り手の立場はさらに強くなるのです。

 

資産を保有すればするほどフットワークは鈍り、変化への対応が遅れる。
変化への対応が遅れると、利益を得られないだけでなく、売れないものを作り続け、もしくは売り続け、さらに赤字幅を拡大するという悪循環に陥る。

 

ビジネスにおいて「資産を保有しない」とはどういうことでしょうか。
究極的には「ノウハウと現金以外はまったく保有しない」ということです。

 

現在、日本国内の流通業界で、業績好調なチェーンの一つは、セブン-イレブンです。そして、国内流通業界で、資産を最小限にしながら店舗網を拡大しているのもセブン-イレブンではないでしょうか。

 

つまり、断る自由のある売り方、販売スタッフから買わされるのではないかという、いわば恐怖ともいえる不安から解放される売り方がテレビショッピングといえるわけです。
その結果、消費者から認知さ、無店舗で商品に直接触れることが出来なくても、堅調な売上を維持できているのではないでしょうか。

 

無店舗で余計な人員や資産をもたない楽天トラベルは、市場変化に対応しやすい「軽い経営体」と言えます。

 

今や固定資産を持っていないことは、経営上の強みと言っても過言ではありません。

 

デジタル機器業界では、このように明日のニーズを予測することが困難です。そうなると生産設備を保有し、市場変化に対応しにくい体制を作ることは、命取りになりかねず、EMSへ委託することになるわけです。

 

営業力を持たないビジネスマンは今後すべての業態で生き残ることが厳しくなります。
ここでいう営業力とは、人間関係で生じるすべてに敏感かつ適正に反応することです。
(中略)
つまり周囲の人から些細なことでも一番最初に相談される『悩み事相談のファーストゲート』になること

 

今後、国内産業においても、競争力を高めるための持たない経営から、人口減少社会においては人員確保が困難になることを視野に入れ、人員や資産を持たなくても成り立つ経営を目指すことが重要になると考えます。

 

==================
■実践ポイント
==================

●自分の仕事を「持たない」という視点で考える

●「悩み事相談のファーストゲート」になれるよう目指す

 

==================
■まとめ
==================

「持たない」ということは得意分野に「特化」することと言える。
「特化」できる分野がない者には、厳しい未来が待っている。

 

 

==================
■編集後記
==================
本日もここまでお読み頂きありがとうございました。
ご覧いただいたことに感謝いたします。

 

今日は夕方まで都心ぶらぶら散歩(主に書店巡り(笑))。
夜は池袋で幹事をしている読書会の打ち合わせ。
エネルギッシュな新たな仲間と出逢えて大満足と刺激をいただいた♪
締めは読書会発起人を交えて4人でのんびり語らい。
これはこれで好きだ(笑)
こういう休日もまた良し。

 

以上、本日も本との出会いに感謝し、編集後記とします。
次回もよろしくお願いします!

 

==================
■今回紹介した本
==================
「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ(金子哲雄)
b280

金子哲雄さん、ここに改めて御冥福を御祈り致します。

 

★ポチっとクリック頂けると更新の励みになります★

書評・レビュー ブログランキングへ


にほんブログ村

 

 

 

関連記事

コメントは利用できません。

ページ上部へ戻る