【書評:141冊目】現代語訳 論語と算盤(渋沢栄一)

【道徳と利潤を調和させよ!】
日本実業界の父・渋沢栄一氏が、生涯を通じて貫いた、経済人がなすべき道を示した哲学書『論語と算盤』の現代語訳。道徳と利潤の狭間で迷える人へ、バランスの取り方を教え示していく。

■書籍の紹介文

道徳と利潤。
仕事をするうえで、どちらが大切だとおもいますか?

 

本書は、近代日本の実業の父・渋沢栄一氏が、生涯を通じて貫いた経営哲学をまとめた『論語と算盤』を現代語訳に直した一冊。

 

論語は、道徳の手本とすべき最も重要な教え。
算盤は、経済活動の象徴。

 

この一見すると対極にある2つを、できるだけ一致させること。
つまり、バランスを取ることが、生きていくことで大切であるというのが、本書の骨格です。

 

と、言葉で表現するのはカンタンでも、バランスを取るのはとても難しいことです。
なぜなら、相反する対極に位置しているわけですから、当然ですよね。

 

そのため、バランスを取るには、相応の「鍛錬」と「習慣」が大切であると説きます。
生涯にわたって継続すべきレベルの「鍛錬」と「習慣」です。

 

資本主義という利潤への欲望を開いた人が、道徳を大切にしていた事実。
これは、いかにして人間であることを保とうとしたかの己との戦いだったように感じます。

 

さすがは、日本屈指の古典のひとつ。
背筋が伸びる凛とした空気感を感じる時間が、クセになります。

 

◆日本人として読むべき一冊。

現代語訳 論語と算盤
渋沢栄一 筑摩書房 2010-2-8
売上ランキング(公開時):26
Amazon Kindle 楽天

■【要約】15個の抜粋ポイント

国の富をなす根源は、社会の基礎的な道徳を基盤とした、正しい素性の富でなければならない。
だから『論語』と『ソロバン』というかけ離れたものは、できるだけ一致させる必要がある。

 

争いはよいのか、悪いのか。
私は「何があっても、無くすべきものではない」と考える。
世の中を渡っていく上でも、はなはだ必要なものだと信じている。

 

孟子も「敵国や外患がないと、国は必ず滅ぶ」と述べている。
国家の発展には、外国と争って「必ず勝って見せる」という意気込みがなければだめだ。

 

「自分を磨く」ということには、箸の上げ下ろしの間の心がけも含まれている。
道徳や倫理は、いつも身近な中にあるものだ。

 

喜怒哀楽にも注意すべきだ。
人間が世間とのつきあい方を誤るのは、たいてい、感情が暴発してしまうときだ。
だから、常に喜怒哀楽のバランスをとっていく必要があるのだ。

 

わざわいの多くは、得意になっているときに起きる。
「天下に自分の出来ないことなど無い」とばかりに、どんなこともなめてかかるから、目算がはずれて、とんでもない失敗をするのだ。

 

成功者は、必ず「あの困難をよくやり遂げた」「あの苦痛をよくやり抜いた」という経験を持つものだ。
いつも同じ心構えで道理を守り続けるよう、心がけることだ。

 

つまらない仕事に不平を言う者もいるが、経験の少ない若い人に、はじめから重要な仕事を与えるものではない。
どんなに些細な仕事でも、それは大きな仕事の小さな一部なのだ。

 

志を途中で変えると、大変な不利益を被る。
だから、最初に志を立てるとき、もっと慎重に考えをめぐらす必要がある。

 

成果を焦って大局を観ることを忘れ、目先の出来事にこだわってはわずかな成功に満足してしまう。
そうかと思えば、それほどでもない失敗に大きく落胆してしまう。

 

常識とは、何かをする時に極端に走らず、頑固でもなく、善悪を見分け、プラス面とマイナス面に敏感で、言葉や行動がすべて中庸にかなうものだ。
人として社会で生きていく上で必ず必要なものだ。

 

習慣とは、人の普段からの振る舞いが積み重なって身に染みついたものだ。
悪い習慣を多く持つと悪人になり、よい習慣を多く身につけると善人になる。
このように、習慣は人格につながる。

 

人生は努力だ。
いつの時期も勉強の心を失ってしまえば、その人の進歩や成長はおぼつかなくなる。
同時に、そんな勉強をしない国民によって支えられる国家は、繁栄も発達もやはりできなくなる。

 

人は、一旦怠けてしまえば、最後まで怠けてしまう。
怠けていて好結果が生まれることなどない。
だからこそ、人はよい習慣を身につけるべきなのだ。
勤勉や努力の習慣が必要なのだ。

 

常識の根本とは、親や目上を大切にし、良心的で信頼されることだ。
この二つから組み立てた意志を持ち、何事も順序よく進展させ、静かな気持ちで、じっくり考えてから決断することだ。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【141-1】本書を繰り返し読む

【141-2】謙虚であることを常に意識する

【141-3】1日10分から勉強習慣を確立する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】現代語訳 論語と算盤
【著者名】渋沢栄一
出版社筑摩書房
【出版日】2010/2/8
オススメ度★★★★★
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード哲学教養生き方
【頁 数】256ページ
【目 次】
第1章 処世と信条
第2章 立志と学問
第3章 常識と習慣
第4章 仁義と富貴
第5章 理想と迷信
第6章 人格と修養
第7章 算盤と権利
第8章 実業と士道
第9章 教育と情誼
第10章 成敗と運命

 

この本が、あなたを変える!

現代語訳 論語と算盤
渋沢栄一 筑摩書房 2010-2-8
売上ランキング(公開時):26
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渋沢栄一さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/

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