【シェア読書:924冊目】「原因と結果」の経済学(中室牧子、津川友介)

【因果推論という必須教養】
経済学の専門家・中室牧子氏と津川友介氏が、経済学の最新手法「因果推論」の考え方を教授。原因と結果を見る目を養うことで、根拠のない通説に騙されず真実を見抜く思考が身につく!

■この本の紹介文

・メタボ健診を受けていれば長生きできる
・テレビを見せる子どもの学力が下がる
・偏差値の高い大学へ行けば収入が上がる
これを見て、「うん、そうだよね」と思ったのなら、あなたは騙されているかも?

 

本書は、根拠のない通説が山積みの教育と医療を題材にして、あなたがデータに流されずにきちんと判断できる思考力を養えるように、因果推論の基本的な考えかたを教授する一冊。

 

わたしたちは、データ氾濫時代を生きています。
意識・無意識に関わらず、日々大量のデータがあなたを目がけて流れてきます。

 

そして、知らず知らずのうちに、”根拠のない通説”を定説と”思い込み”、誤った判断軸を形成しているのです。
そう、今この瞬間にも・・・。

 

誰もが「役立つ!」と思ったWEBメディアが閉鎖されましたよね?
誰もが「役立つ!」と思った健康情報に根拠がなく、人気番組が終了しましたよね?

 

なぜ、こういうことが起きるのでしょうか?
それこそが、本書のテーマである、「因果関係」と「相関関係」を誤認してしまった結果なのです。

 

目の前に示されたデータ・情報に対して、
本当に因果関係があるか?
と、きちんと問いかけ考えるトレーニングをしておけば、正しい判断ができるのです。

 

「因果推論」は、現代人の必須の教養である
このキャッチコピーに偽りのない、学びがいのある一冊です。

 

◆「軽薄な人間は運勢を信じ、強者は因果関係を信じる」
 (ラルフ・エマーソン/アメリカの思想家)

■本がわかる!15の要約ポイント

因果関係と相関関係について、改めて整理してみよう。
2つのことがらのうち、片方が原因となって、もう片方が結果として生じた場合、この2つのあいだには「因果関係」があるという。
一方、
片方につられてもう片方も変化しているように見えるものの、原因と結果の関係にない場合は「相関関係」があるという。

 

●因果関係を確認する3つのチェックポイント
1.「まったくの偶然」ではないか
2.「第3の変数」は存在していないか
3.「逆の因果関係」は存在していないか

 

因果関係の存在を証明するためには、原因が起こったという「事実」における結果と、原因が起こらなかったという「反事実」における結果を比較しなければならない。

 

●エビデンスの階層
1.メタアナリシス
2.ランダム化比較試験
3.自然実験と擬似実験
4.回帰分析
※1から順に、エビデンスレベルが高い
※本書では、図解になっています

 

2つの変数の関係は因果関係なのか相関関係なのか。
このことを明らかにするうえで、最も確実な方法は「実験」である。
これを専門用語で「ランダム化比較試験」と呼ぶ。

 

ランダム化比較試験
研究の対象となる人々を、コインを投げたり、乱数表、くじ引きなどでを用いて、介入を受けるグループ(介入群)と受けないグループ(対照群)にランダムに割り付ける。
そして、
2つのグループを比較可能にし、介入群が「もし介入を受けなければどうなっていたか」という反事実を対照群で穴埋めしようとする方法のことである。

 

「自然実験」は、
法律や制度の変更、自然災害、紛争など、誰にも予想できなかった変化によって、あたかもランダム化比較試験を行ったかのような状況を見出すことで、2つの変数の因果関係を明らかにしようとする方法

 

差の差分析
介入を受けるグループ(介入群)と受けないグループ(対照群)において、介入前後の結果の差と、介入後と対照群の結果の差の2つの差を取る方法。

 

操作変数とは
「結果には直接影響を与えないが、原因に影響を与えることで、間接的に結果に影響を与える」ような第3の変数のことを指す。

 

回帰不連続デザインとは
恣意的に決定されたカットオフ値の両サイドで、介入群と対照群が分かれる状況を利用して因果関係を推定する方法である。
回帰不連続デザインが成り立つ前提条件は、カットオフ値の周辺で、結果に影響を与えるようなほかのイベントが起きていないことである。

 

マッチング法とは、
介入群によく似たペアを対照群の中から選び出すことによって、2つのグループを比較可能にする方法のことである。

 

もうすでに何らかのデータが手元にあるが、それが因果関係の評価に適していない場合、どうすればよいのだろうか。
こういうときは「回帰分析」の出番だ。

 

経済学では、因果推論に基づいて政策の効果測定を行う研究領域のことを「政策評価」と呼んでおり、近年その体系化が急速に進展している。

 

●因果関係を読み解く5ステップ
1.「原因」は何か
2.「結果」は何か
3.3つのチェックポイントを確認しよう
4.反事実を作り出そう
5.比較可能になるよう調整しよう

 

データはそれのみでは単なる数字の羅列にすぎない。
データを用いた分析を「どう解釈するか」ということが極めて大切だ。
相関関係を示しているにすぎないデータ分析を、因果関係があると誤認してしまうことは誤った判断のもとになる。
この意味では、
「その関係は本当に因果関係なのか」を明らかにするための必須教養とも言うべき「因果推論」が、私たちのような研究者の専売特許であった時代はすでに過ぎ去ったように思われる。

 

■これをやろう!3つの実践ポイント

【924-1】因果関係とはどういうものか、きちんと整理する

【924-2】相関関係とはどういうものか、きちんと整理する

【924-3】示されたデータが、本当に因果関係なのか?と疑う意識を育てる

 

■ひと言まとめ

因果推論は、データの洪水に飲みこまれない、浮き輪である!

 

■本日紹介した書籍情報

【書籍名】「原因と結果」の経済学ーデータから真実を見抜く思考法
【著者名】中室牧子津川友介
出版社ダイヤモンド社
【出版日】2017/2/17
オススメ度★★★★☆
【こんな時に】考える力を身につけたいときに
【キーワード】思考問題解決教養
【頁 数】208ページ
【目 次】
第1章 根拠のない通説にだまされないために
第2章 メタボ健診を受けていれば長生きできるのか
第3章 男性医師は女性医師より優れているのか
第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか
第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか
第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか
第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか
第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」

 

気になったら、今すぐお手元に!

 

中室牧子さん、津川友介さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/

本日もお読みいただきありがとうございました!

 

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